高温による皮膚組織の損傷です。冷却が基本で、重症では全身管理が必要になります。深さは、「温度×時間」で決まります。たとえば、湯たんぽによるものは温度は低くても時間が長いので深くなります(真皮深層~皮下)。深度は、Ⅰ~Ⅲ度に分類されます。
重症度として、軽度・中等度・重症がありますが、中等度~重度は入院による治療が必要ですので、外来で治療するのは軽度熱傷(体表面積の15%以下の第Ⅱ度熱傷と、2%以下の第Ⅲ度熱傷)となります。
まず行っていただくことは、流水による冷却です。15分~30分を目安としてください。
衣服の下のやけどの場合は、衣服の上から冷やしていただいて構いません。
Ⅰ度熱傷の場合は、特に治療をしなくても傷跡を残すことはありませんが、炎症を抑える軟膏が有効です。Ⅱ度熱傷では、水疱が大きい場合は穿刺(排液)します。そしてポイントは、創部を清潔に保つことと乾燥させないことです。症状に応じた皮膚潰瘍治療薬の外用をしていただくこともあります。
機械性な刺激によって、限局性に角質の肥厚をきたしたものであり、足底に多くみられ、歩行に際して疼痛があることがあります。いぼ(尋常性疣贅)と鑑別を要する場合があります。スピール膏貼付や、角層の削除をします。
高齢者に多い疾患ですが、お子さんで診るケースもあります。
子どもの頃にかかることの多い「水ぼうそう」のウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス)が原因で起こります。水ぼうそうが治ったあとも、ウイルスは体内の神経節に潜んでいます。加齢やストレス、疲れなどがきっかけとなってウイルスに対する免疫力が低下すると、潜んでいたウイルスが再び活動を始め、神経を伝わって皮膚に到達し、帯状疱疹として発症します。ですから帯状疱疹は、皮膚の症状だけでなく神経にも関連する病気なのです。
体の片側に起きる強い痛み(神経痛です)と、痛みがある部分にできる帯状の赤み、ブツブツ、水ぶくれが特徴です。稀に全く痛みを伴わない人もいます。痛みではなく痒みを伴うこともあります。帯状疱疹の皮膚の症状が消えた後も、痛みだけが長期間にわたり残ることがあり、これを帯状疱疹後神経痛(PHN)といいます。
通常は生涯に1 度しか発症せず、免疫が低下している患者さんを除くと再発することは稀です。帯状疱疹は、他の人に帯状疱疹としてうつることはありません。帯状疱疹の患者さんから、水ぼうそうにかかったことのない人に、水ぼうそうとしてうつる可能性があります。
検査として、水痘・帯状疱疹ウイルス抗原キット(デルマクイックVZV)を使って5~10分で判定が可能です。
臀部の症状の場合、単純疱疹との鑑別が難しいケースがありますが、この検査キットがあれば容易に鑑別が可能となります。
治療の基本は、抗ヘルペスウイルス薬の内服です。早期の内服が有効です。重症になると入院して点滴で治療する場合もあります。皮膚の症状は日が経つにつれ軽快していきますが、問題となるのは帯状疱疹後神経痛(PHN)です。数年経っても痛いケースもあります。高齢者ほど痛みが長引く傾向にあります。できるだけ早期の治療開始がポイントと言えます。
爪の側縁が食い込み、このため腫脹発赤して肉芽が盛り上がり、痛みを伴います。爪囲炎などの細菌感染をきたすこともあり、化膿性肉芽種を形成します。靴による圧迫もありますが、深爪が最大の原因で、第1趾に好発します。
■ 治療
ほとんどが爪を短く切りすぎているケースですので、まず、爪の切り方についてご説明しています。
食い込みを緩和させるために、コットンパッキング法を行ったり、テーピング指導をします。肉芽種には、液体窒素や硝酸銀・フェノールを塗布することもあります。が、外科的療法(ガター法・フェノール法)が必要なケースもあります。必要に応じて、抗生物質の内服や外用で治療します。
巻き込みの強い爪には、超弾性金属で作られた巻き爪用クリップを爪の先端にかけます。
クリップがまっすぐになろうとする力が働くので爪のまきこみが矯正されていきます。
クリップの装着は簡単にでき、何回でも使えます。
皮膚の深いところ(真皮深層)から皮下脂肪組織にかけての細菌による化膿性炎症です。 下腿に好発し、境界不明瞭な赤み(紅斑)・腫れ(腫脹)・熱感・疼痛として始まり、急速に拡大していきます。発熱・頭痛・関節痛などの全身症状を伴うこともあります。原因は、主に黄色ブドウ球菌のほか、β溶連菌などです。外傷や皮膚潰瘍、毛包炎、足白癬などの続発性に生じる場合と、明らかな誘因がない場合もあります。治療は、安静を保ち、抗生剤の内服をします。
皮膚の浅いところ(真皮)の細菌による化膿性炎症です。
顔面に好発し、境界明瞭な赤み(浮腫性紅斑)が急速に拡大します。熱感・疼痛も伴います。水疱を形成することもあります。同一部位に繰り返し発症することがあり、習慣性丹毒と呼ばれます。原因は、主にβ溶連菌です。治療は、抗生剤の内服です。
原因となる湿疹(原発巣)が、急速に悪化し、2~数週間で全身に拡がっていきます(散布疹)。
原発巣は、圧倒的に下腿に多く、接触性皮膚炎・貨幣状湿疹・うっ滞性皮膚炎・アトピー性皮膚炎・熱傷などです。一種の内因的なアレルギー反応(id反応)によっておこります。
つまり、原発巣における組織崩壊によってつくられた蛋白・細菌・真菌成分などが抗原となり、血流を介して全身に散布されたり、原発巣の掻破によって拡がったりします。
原発巣の治療がポイントになります。
持続的圧迫による血流障害のため、皮膚と皮下組織に壊死がおこったものです。自分の意思で体位変換できない寝たきり老人や、脳卒中・脊髄損傷患者・低栄養・糖尿病などの基礎疾患があるとできやすいです。骨を外から触れやすい部位に好発します。全身状態を良好に保ち(栄養管理も大切です)、持続性圧力がかからないように体位に注意します。壊死組織は除去します(デブリードマン)。外用薬やドレッシング材などで、肉芽の促進と上皮化の促進をはかります。